●佐久市望月・職人館・03.04.27●

●住所:佐久市望月春日3250-3●電話 :0267-52-2010
●営業:11:30-15:00(夜は予約があれば営業) ●定休日:水・木曜日(祝日は営業・GW及び8月は無休)
●交通:JR)長野行き新幹線佐久平駅から芦田行きバスで30分、望月で岩下行きバスに乗り換えて15分、新町下車すぐ■車)国道142号線望月交差点を春日温泉方面へ曲がり6km。途中道路脇にある行き先方向案内板に従っていく。

山間の自然に囲まれた田園にぽつんとある古い民家を利用した建物。古さを生かしたシックで落ち着いた雰囲気の中で、手打ちそばを中心とした郷土料理が頂ける。二階では奥さんの草木染めなどの作品を展示販売している。

そばは、付近の高原で栽培された地粉100%を使っている。石臼挽きの十割そばは絶品である。辛仕立てのつゆは、地元産丸大豆を使った醤油を生かし、鰹節(鰹・宗田・鯖)にもこだわり、化学調味料・砂糖の類は一切使っていないという。

また、郷土料理に饗される食材は、全て無農薬・有機栽培で栽培された旬のものばかりという徹底したこだわりぶりである。

というのも、安定した収入のある役場の職員を投げ打って、そば料理職人となった館主の北沢正和氏は、自分の体験に基づき、料理の根本は、健康は食べ物によって作り出されるという意味の「食養(しょくよう)」という信念に基づいているからに他ならない。

この食養のための食材は、「身土不二」・ 「一物全体食」・ 「不飽常食」 の三つに集約されるという。
「身土不二」とは、人間も含めて地球上の生物は、土から育った植物を食べて生きているから、動物も人間も間接的には土を食べて生きているわけだから、食養のためには良い土壌に育った食材が必要であるという意味。野菜なら昔からの農法!無農薬・有機肥料で育てられ野菜本来の味をもつ食材であるし、山菜のように自然に野山に自生している食材のことだ。
「一物全体食」とは、一つの生命がまるごと入っているもの、その全体を食べるのが健康のためには良いという意味。穀物やそばのように土の中に種を蒔けば、新しい生命となってものが良いのであって、牛などのようにまるごと食べられないものは除外されるというわけである。
「不飽常食」とは、米などのように毎日食べても飽きない食材という意味だそうだ。

このような食材であれば、料理は食材のもつ旨さを接着させるだけと言うのが氏の口癖であるが、あり合わせの材料で作る氏の料理は、はじめて食した者を感激させる絶妙の味わいなので、客は地元にとどまらず、むしろ県外からの客が多いという。

実際お品書きを見ると
■そば: ※職人そば(\850) ※みぞれそば(\850) ※十割石臼挽きそばそば(\1300) ※山菜温そば(\1300) ※季節の変わりそば(\1500)
■館主おまかせ膳(\2500):みまき豆腐・季節の一品・変わりそばのチョイス・茶菓子・抹茶
■職人館スペシャル(各\1500):
※山葡萄のドレッシングのそばサラダ ※みまき豆腐の葛あんかけそば ※岩魚そば ※そばの実と放し飼い鶏卵のリゾット風 ※どんぐりそば(石臼挽きそば粉とどんぐり粉のハーモニー)
■みまき豆腐(\350):北御牧村特産丸大豆100%
■山里の季節膳:
※鉋(かんな)膳(\3,000) ※炭にきけ膳(\4000) ※棟上げ膳(\5000) ※野にきけ膳(\6000) ※山にきけ膳(\7000)
■山菜野菜料理(\850):日々の山野・畑と相談メニューです
と単品のそばのほかにはどんな料理か、どんな味がするか分からないからわくわくするようなメニューがずらりと並んでいるので、その日の料理の内容を確かめ懐具合と相談して注文してみられるとよろしいでしょう。(但し値段は、03/04/27現在のもの)

因みに店名の「職人館」(しょくにんかん)の名付け親は、戦没画学生慰霊美術館「無言館」館長の窪島誠一郎さんだそうだ。

家内との平成15年春の信濃路・旧中山道佐久路(国道142号線)を往く旅のなかで、望月宿跡を訪ねた折訪れてみた。望月町役場や旧本陣のある町の中心部からは分かりずらいが、国道142号線から春日温泉を目指す道を選ぶと分かりやすい場所にあった。

望月あたりで昼食を摂る計画で、金子万平氏編「信州そば百選」に掲載されてた「職人館」を訪ねることにしていた。店を探すのに少々手間取ってしまったのでお目当ての職人館に着いたのは午後二時半頃になってしまった。

田圃の見える窓際の椅子席に案内さた。季節の変わりそばはダッタンそばだというので、敬遠して注文したのは十割そばにした。香りも甘みもそばまるごと頂いた感じがした噂に違わず美味しいそばだった。そして一緒に出てきたそば湯は片口一杯もあったにのにびっくり!こんな沢山のそば湯にお目にかかったのははじめて。でも二人で全部頂いてしまった。

帰り際、館主の北沢氏の写真を撮らせて頂き、ちょっぴりお話も伺うことが出来た。「自然がすでに料理してくれてある食材に、手を加えると美味しくなくなってしまうんだよね」という言葉が印象的だった。

レジのそばに、氏の著作本が数点置かれていたので、詩人の谷川俊太郎氏・音楽家の小室等氏・館主の北沢正和氏の対談集「畑で野菜をつまみ食い」(ふきのとう書房刊:ISBN4-434-01547-8)を購い、読ませて頂いた。食に対する考え方には共感するところが多い。

望月は交通の便が悪いところだが、是非また来て今度は野趣にとんだ季節膳を頂いてみたい。

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・制作:03/04/20・更新:03/07/28・05/05/16
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