信濃の民謡:はじめに


古くから歌い継がれてきた民謡は、盆踊りなどの祝いの場で、馬方節のように労働の場でリズムをとる歌などとして、発達してきた。 日本民俗学者の柳田国男に寄ると,民謡を、その歌われる場と目的の面から民謡の種類を次のように分類している。
・田歌:畑歌を含む。田打歌,田植歌,草取歌,稲刈歌など。
・庭歌:屋敷内の作業場での仕事に伴う歌。
 稲扱(いねこき)歌,麦打歌,剰搗(ひえつき)歌,麦搗歌,臼搗歌,粉恐歌,糸引歌,地搗(じつき)歌など。
・山歌:山林原野に出て歌う歌。山行歌,草刈歌,木おろし歌,杣(そま)歌,茶山歌など。
・海歌:水上の生活,水産一般の作業に伴う歌。船卸歌,船歌,潮替歌,網曳歌,鯨歌など。
・業歌(わざうた):ある職業に携わる人だけが歌う歌。大工歌,木恐歌,綿打歌,茶師歌,酒屋歌(酒造歌)など。
・道歌:馬子歌,牛方歌,木遣(きやり)歌(木遣り),道中歌など。
・祝(いわい)歌:座敷歌,嫁入歌,酒盛歌,物吉歌など。
・祭歌:宮入歌,神迎歌,神送歌など。
・遊歌:田遊歌,鳥追歌,正月様,盆歌,踊歌(盆踊歌,雨乞踊歌)など。
・童(わらべ)歌:子守歌(眠らせ歌,遊ばせ歌),手鞠歌,お手玉歌など(以上《民謡覚書》)。
信州には民謡が多かったが、中山晋平の新民謡が大正末期から歌われるようになると、その大部分が失われたというが、今でも信州に残る古くから歌い継がれた民謡を集め、それらの由来・歌詞の意味するところなど、私見を交えて紹介する。
■信州の民謡を代表する三曲
小室節  :日本を代表する東信濃の民謡。信濃追分・江差追分・小諸馬子唄など各地の追分節・馬子唄の原型
伊那節  :天竜川流域の長野県伊那谷地方の祝歌,元歌「御岳節」が、権兵衛峠を往来した馬子に伝わり発展した。
木曽節  :長野県木曾地方の盆踊歌。本歌は「なかのりさん節」。木曽節全詞もある。
木曽の民謡:中山道の通じていた信州木曽は、民謡が豊富に原型に近い形で残されている土地柄である。
高い山  :結婚式の披露宴そのた祝いの席でに欠くことの出来ない祝い唄
嫁入り歌 :木曽御嶽山麓の開田村に伝わる民謡。今でも結婚式で必ず歌われ、式はこの歌によって進められたという。
吉野草刈唄:上松町吉野に伝わる馬の飼料となる草刈りをするときに歌う作業歌
木曽甚句 :木曽福島地方で古くから歌い継がれ踊られて来た踊り唄
土搗節  :家を建てるときの基礎の地固めや、酒盛り唄としても広く唄われた祝い唄
三拍子  :木曽福島黒川地区の残る古い唄。ほかに横手・伊勢路などがある
■諏訪地方の民謡
・諏訪エーヨー節:諏訪地方に伝わる民謡。江戸時代から歌われた田植え歌
天屋節  :諏訪盆地で厳冬期行われる寒天造りの天屋衆を歌った唄
■秋山郷の民謡
ノヨサ節 :秘境秋山郷で歌い継がれた哀調の民謡
■遠山郷の民謡;絵島・横婆々・御嶽・ノーサ・しょうがい踊り・田植え歌・大黒舞など豊富に残されている
盆踊り唄 :絵島踊り・源吾兵衛踊りなど遠山郷上村上町に昔から伝わる盆踊り唄の数々
絵島   :江戸時代、高遠藩にお預けになった絵島を偲ぶ盆踊り唄。
■甚句ほか
長久保甚句:中山道の宿場長久保に伝わる甚句

・制作:99/02/07・更新:99/03/07

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